用語集

金属加工・ナイフ用語集

ナイフ・マルチツール・精密金属部品の調達でよく出る32の用語を、それぞれ一文で解説します。加工工程、ナイフ構造、商務・品質の3つに分類しています。

加工工程

精密打抜き(ファインブランキング)
V字リングと逆圧で板材を押さえながら打ち抜くプレス工法。せん断面が平滑で寸法精度が高く、ブレード・ロックバー・歯車状部品などの厚板部品に用いられ、後工程のフライス加工を省けることが多い。
プレス加工
プレス機と金型で板材を打ち抜き・せん断・曲げ・成形する加工法。高速で単価が低く、金属部品の大量生産の主要工程。
CNC加工
工具経路をコンピュータプログラムで制御するフライス・旋盤・研削加工。プレスでは作れない立体形状や高精度の穴加工が可能。3軸は平面部品向き、5軸は複雑曲面のハンドルを一度の段取りで加工できる。
真空熱処理
真空炉内で加熱・焼入れ・焼戻しを行い、鋼材を設計どおりの硬度と靭性にする処理。空気がないため表面が酸化・脱炭せず、ブレードの変形も小さい。高合金ステンレスや粉末鋼に適する。
焼戻し(テンパー)
焼入れ後、より低い温度で再加熱・保持して脆さを減らし靭性を高める処理。硬度と刃こぼれ耐性のバランスをとる。通常2回行う。
水研ぎ(ウォーターグラインディング)
砥石と工作物に冷却液を流しながら研削する方法で、ブレードの平面・ベベル・刃先を成形する。水が熱を奪うため、局部的な過熱で熱処理後の硬度を失うのを防ぐ。
PVDコーティング
物理蒸着。真空チャンバー内で金属やセラミック材料を気化させ、ブレード表面に極薄で硬く耐摩耗性の高い膜を形成する。黒・グレー・ゴールドが一般的。DLC(ダイヤモンドライクカーボン)は摩擦係数が最も低いPVDの一種。
電着塗装(EDP)
部品を水性塗料槽に浸し通電することで、穴の内側や隅を含むすべての表面に塗料を均一に付着させ、焼付け硬化する。膜厚が均一で密着性・防錆性が高く、黒色の工具部品や防衛用金属部品によく使われる。
サンドブラスト
圧縮空気で細かい研磨材やガラスビーズを表面に吹き付け、均一なマット質感を作りバリやスケールを除去する。塗装やPVDの前に密着性を高める前処理としても用いる。
バレル研磨
多数の部品を研磨メディア・水・コンパウンドとともにバレルまたは振動機で回転させ、バリ取りと角の丸めを行う。小型プレス部品の大量仕上げに適する。
不動態化処理(パッシベーション)
酸洗いでステンレス表面の遊離鉄を除去し、酸化クロムの保護皮膜を完全に形成させて耐食性を高める処理。ステンレス部品出荷前の最終工程として一般的。
金型(ツーリング)
プレスや成形のために製作する専用の金型・治具・固定具の総称。量産前の一回限りの費用で、寿命はショット数で数える。OEM案件では通常お客様が費用を負担し所有、工場が保管・保守する。

ナイフ構造

ライナーロック
フォールディングナイフで最も一般的なロック。ハンドル内側のバネ鋼ライナーが開刃時にタングの後ろに入り込んでブレードを固定し、閉じるときは親指でライナーを横に押す。構造が簡単で低コスト、片手操作が可能。
フレームロック
ライナーロックと同じ原理だが、ロックするのはハンドルフレーム自体の一部(通常チタンまたはステンレス板)。より厚く強固で、上位モデルのフォールディングナイフに多い。
バックロック
ハンドル背面のロッカーバーがバネでタングの切欠きに落ち込んでロックし、背面のリリースを押して解除する。歴史ある方式で、左右どちらの手でも操作でき、ロック強度が高い。
クロスバーロック
ハンドルを貫通する横方向の鋼製バーが両側のバネでタングの切欠きに押し込まれてロックし、後ろへ引くと解除される。左右両用で開閉とも片手操作でき、指が刃の軌道に入らない。
タング
ブレードがハンドル内に延びる部分。フォールディングナイフではピボット穴・ロック切欠き・ストッパーがある。固定刃ではハンドル全長に通るフルタングと、内部に収まるヒドゥンタングに分かれる。
ハンドルスケール
タングやライナーの両側に取り付けるハンドル外層材。G10、マイカルタ、チタン、アルミ、木材、カーボンファイバーが一般的。握り心地・重量・外観を決め、通常CNCで加工する。
ピボット
フォールディングナイフのブレードが回転する軸。ピボットスクリューとワッシャーまたはボールベアリングで構成される。ピボットの加工精度とワッシャー材質が開閉の滑らかさとブレードの横ガタを決める。
デテント
ライナーに埋め込まれた小さな鋼球で、閉じた状態でタングのくぼみに落ち込み、ブレードが勝手に開かないようにする。くぼみの深さと位置が開刃時の手応えの強弱を決める。
ブレードグラインド(刃付け形状)
ブレードの背から刃先までの断面形状。フラットは鋭く汎用的、ホローは最も薄く鋭いが強度は低め、コンベックスは最も耐久性が高く、スカンジは手入れが容易。用途で決め、図面に明記が必要。
小刃(エッジベベル)
実際に切る刃先の細い最終ベベルで、片側角度(例:15°〜20°)で指定する。角度が小さいほど切れ味は良いが欠けやすい。量産では固定治具で研ぎ、全数を揃える。
サムスタッド/フリッパー
フォールディングナイフの片手開刃機構の代表2種。サムスタッドはブレード側面に固定した小さな突起で親指で押し開く。フリッパーはタングから伸びたタブを人差し指で押し下げてブレードを振り出す方式で、通常ベアリングと組み合わせる。

商務・品質

OEM
相手先ブランド製造。お客様が図面と仕様を提供し、工場がそのとおりに製造する。設計と知的財産はお客様に帰属。
ODM
相手先ブランド設計製造。お客様が要件を提示し、工場が設計・製造してお客様ブランドで販売する。設計の帰属は契約で定める。
RFQ(見積依頼)
お客様から工場への見積依頼。完全なRFQには図面、材質、表面処理、数量、年間使用量、目標価格、納期が含まれる。情報が揃うほど見積は正確かつ迅速になる。
MOQ(最小発注数量)
工場が1回の注文で受ける最小数量。金型償却、材料の購入ロット、段取り替え時間で決まる。同じ部品でも材質や表面処理によりMOQは変わる。
リードタイム(納期)
発注から出荷までの期間。試作リードタイムと量産リードタイムに分かれる。金型製作を含む初回ロットが通常最も長く、リピート注文は材料と生産の時間のみ。
DFM(製造性検討)
見積前に工場がお客様の図面を検討し、材質・公差・R・肉厚・工程順序の変更を提案すること。製造不能または不必要に高コストな設計を金型製作前に排除するのが目的。
FAI(初品検査)
金型や工程の完成後、最初に生産した部品について図面上のすべての寸法を測定し報告書を提出すること。お客様の承認後に量産へ進む。防衛・産業分野のお客様は通常これを要求する。
公差
図面上の各寸法に許容される偏差の範囲。公差が厳しいほど工程・測定・廃棄のコストが上がる。機能上必要な寸法(ピボット穴、ロック面など)だけ厳しくし、他は緩めることがコスト管理の鍵。
NDA(秘密保持契約)
図面や商業情報を交換する前に締結する秘密保持契約。情報を当該プロジェクトのみに使用し、外部へ漏らさないことを定める。俊奕工業はご要望によりNDA締結後に図面を受領し、プロジェクト単位でアクセス管理するPDMに保管する。

図面に不明な用語があれば、お気軽にお問い合わせください。1〜2営業日以内にご返信します

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